テニスボールベアー(テボベ)のすべて

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好きなもの(主に音楽、アイドル、ゲーム等メディア)について色々語ります。ぜひ、皆さんのためになりますように。

『LIFE』『ヘッド博士の世界塔』から感じる、日本とイギリスの音楽の差、越えられない壁

 

 オザケンがまた姿を消した(笑)素晴らしく自由なのに、影響力の大きい人だ。どこまで計算しているのかしらないが、彼が一秒テレビに出ただけでも大きな話題を呼ぶ。私もそんなオザケン再来に心をときめかした一人だ。弱冠大学生にも彼の音楽は響く。

 

 七、八年前だろうか、車のCMで流れてたHALCALIバージョンで『今夜はブギーバック』を知った。

NISSAN キューブ TVCM  おそ松 イヤミ 今夜はブギー・バック
ネットで誰が歌っているか調べるとどうやら本家は小沢健二という人らしい。YouTubeで本物を聴くと、気持ち悪いおじさん(失礼)が変な声で歌ってるぐらいの印象しか受けなくて、なんならHALCALIのほうが良かった。

 その後、小沢健二の『LIFE』を聴くがただの明るいポップスだとしか思わなかった。ご覧いただくとわかるとおり、アマゾンではたいへん高い評価を誇っているのだが。

 そして、彼が元々いたフリッパーズギターというバンドの『ヘッド博士の世界塔』を聴いたのもその頃。YouTubeにあがってるアルバムを聴いても、全くキャッチーじゃないとわけわからんかった。

 しかし大学生になって音楽を色々聴き始めて、社会のシビアさや残酷さを知ってくるとどうやら価値観が変わるらしい。

 桜井和寿がカバーしていた、『僕らが旅に出る理由』という歌を聴いた。

apbankfes'12 ぼくらが旅に出る理由 by BANKBAND
曲調こそ明るいものの、歌詞からなんとなく憂いを感じた。

 そして、再び『LIFE』を聴くと以前と全く違って聴こえた。

LIFE

LIFE

このアルバムはただのポップスじゃないと。まず曲調は調べるとわかるが、有名曲のフレーズがてんこ盛り。ロックが流行っていた90年代を皮肉するかのように。

 そして、オザケンの歌い方や歌詞から、なんとなく「この人は真面目で暗い人間だから、こんな明るい世界観に憧れてるんだろうな」という彼のルサンチマンを感じた。それ故、どこか切なさと言うものがある。

 それが隠しきれなかったのが先述の、大ヒットした『今夜はブギーバック』だろう。

小沢健二 featuring スチャダラパー - 今夜はブギー・バック(nice vocal)
当時わからなかったこの歌の暗い世界観の、官能を大学生になり実感した。「ダンスフロアーでウェーイ」するパリピの歌じゃなくて、パリピになれない人が精一杯女性を口説く歌なんだよね、多分(笑)

 

 そんなこんなで、オザケンの凄さを知った僕は再び『ヘッド博士の世界塔』に手を出す。

ヘッド博士の世界塔

ヘッド博士の世界塔

このアルバムは多くのサイトで、名盤認定されている。もう一度理解してみようと思い、アルバムをTSUTAYAで借りた。

 驚いた。このアルバムもまた海外の音楽をベースに作られていたからだ。しかし、オマージュ元は『LIFE』のようなポップミュージックではなく、プライマルスクリームに代表されるドラッグミュージックやサイケロックであったのだ。ドラッグミュージックっていう表現は曖昧だが言い得て妙だと思っていて。音を歪ませて、淡々としたテンポで、色んな人が叫びまくる。この上なく、カオスな音楽なのである。カオスとはいえ、メタルやプログレとは違い、落ち着いていて、暗い、深海のような音。体験したことこそないが、きっとクスリでイッちゃったときってこんな感じなんだろうと。それぐらい、空想的なサウンドだ。

 そんな、麻薬サウンドの代表といえば『スクリーマデリカ』

Screamadelica: 20th Anniversarry Edition

Screamadelica: 20th Anniversarry Edition

であろうが、このアルバムはそれより遥かにポップなのだ。それもそのはず、彼らはもともとポップスを得意としていたからだ。そんなポップイメージをぶち壊すような、イカれたサウンドはオンリーワンで、おそらく音楽界を盛大に皮肉る為のものであったのだろう。(実際に、当時、二人は生意気な印象を持たれ顰蹙を買っていたらしい。)

 このアルバムは、この時代だからこそできた奇跡的なアルバムなのかなと思う。特に日本ではこんなアルバムはもう生まれないのだろう。

 まぁここからが本題というか私が感じたことだが、日本の音楽性というのはすごく特殊で、きれいで澄んだ音楽が多い。古くは演歌、最近はback numberのような、風景を描いたり極めてリアルであったり。いかに日本人が安定した環境で、恵まれた生活をしてきたかわかる。あとやっぱり真面目で、実直なサウンドが多い。歌詞も意味が伝わりやすいし。それは音楽を作る側も聴く側もそうだと思う。

 一方欧州、特にイギリスの音楽はとにかく暗い、曖昧、つまり真逆。古くはビートルズが『リボルバー』で麻薬について歌い、ジザメリは形のない音楽を奏で、レディオヘッドや初期コールドプレイは自虐の歌を作った。明るく聴こえるオアシスですら、タバコやアルコールの歌を歌った。彼らが麻薬やお酒に頼っていたのは、それだけ日本人には理解できないぐらい暗い社会だったからに違いない。格差社会だったり、内紛だったり、暴力だったり。それ故、現実的な音楽は描けず、創造された、カオスな音楽を奏でていたのではと思う。

 つまり、日本人の恵まれた環境ではドラッギーな音楽や空想的な音楽は限界があるし、一方外国人には季節感のある音楽や美しい風景を語った音楽は書けないのだ。オザケンと小山田がそれをできたのはそんだけ彼らが当時の日本に対して不満があり、彼らが日本人でない瞬間があったからなのだ。

 日本人がどんなにイカれようと、やっぱりきれいな音楽しか作れないんだなと、感じてしまっていて、それがある意味邦楽の限界なのかなと感じるこの頃である。別に、ドラッグを認めるわけではないけど、こんな時代だからこそ、少しイカれていて、気持ち悪い音楽を聴いてみたい。サンプリングとかしまくってもいいんじゃん?最高に気持ち悪いし、せこいし(笑)それか中途半端に洋楽を目指すなら、もっと日本らしいきれいな、無駄のない音楽を作ってもらいたい。

 そんなこと言ってると、初期フジファブリックがよぎってきて泣きたくなるのでここらへんで終わり。

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 一応、ヘッド博士の世界塔の名曲『奈落のクイズマスター』と引用元であろう『Loaded』を。ひたすら、酔うがいい。

The Flipper's Guitar - The Quizmaster

Primal Scream - Loaded (HQ with Lyrics)

ではっ!